20時50分にこんなメッセージが届きました。
今晩21時からの世界せかい発見は「日本xトルコ133年友好物語」
ギリギリやん
まだ放送していた世界ふしぎ発見
1986年4月19日からTBS系列で放送され始めた草野仁氏が司会を務める大御所中の大御所番組である「世界ふしぎ発見!」。なんと昨晩の放送で草野氏が司会を勇退されました。しかしながら引き続き「クイズマスター」として出演されるそうです。
筆者が最後にこの番組を見たのはおそらく平成初期、25年以上は前だと思います。スタジオのセットは違うものの司会の草野氏と黒柳徹子氏を見て「わー、変わってない」と嬉しくなりました。
ミステリーハンターを世界各国に派遣しては国を紹介するこの番組、筆者もよく見ていました。そのミステリーハンターが今回訪れたのがトルコイスタンブールです。
まずはイスタンブールの見どころの紹介
筆者はイスタンブールではありませんがトルコエーゲ海地方に2017年から先の緊急帰国があるまでの2022年年明けまでトルコに住んでいたのですが、改てイスタンブールを紹介してくれてありがたいな、と思います。知らない人だっているでしょうしね。
見どころ盛りだくさん過ぎるイスタンブールですが、筆者が以前ご紹介したメドゥーサに会える地下宮殿も紹介されていたので嬉しかったです。
そしてオスマン帝国の栄華を目の当たりにできるトプカプ宮殿。BGMで筆者もハマっている世界的大ヒットドラマ「オスマン帝国外伝」のテーマ曲が使われていたので思いっきり笑ってしまいました。
スタッフよう勉強しとる。
基本筆者は吹き替えは好きではありません。ことにこの「オスマン帝国外伝」の皇帝役の人の声が非常に良いので字幕で見て欲しいと思います。詩を読むところが陶酔し切っているので女性視聴者の心を鷲掴みにしているのは間違いありません。
彼、シーズン1くらいのところでは目がちょっととろんとしたなんてこたーない男性に見えるのですが、シーズンが続くにつれ熟成されてええ男になりますので辛抱強く視聴してください。
ビジュアルがすごいと評価を受けるこの大河ドラマは色々なところで配信されています。シーズン1はAmazonプライムで日本語字幕で視聴が可能ですよ。筆者はシーズン2からはYouTubeで英語字幕で見ています。
英語字幕もたまに抜けていたりしますが、話にはついていけます。
1890年9月16日に起こったエルトゥールル号遭難事件と1985年イラン・イラク戦争テヘラン脱出事件
当時オスマン帝国であったトルコから航海訓練を兼ねて日本に派遣されたエルトゥールル号は明治天皇と謁見後、現在の和歌山県紀伊大島の柏野埼に連なる岩礁に激突し、沈没してしまいます。普段でも波の荒い場所ですが、台風の強風にも煽られてしまっていたようです。
司令官オスマン・パシャをはじめとする600人以上の乗員が海に放り出されてしまいました。そんな中地元の日本人は言葉も分からずとも少ない食料を分け与え懸命に救助に励んだようです。
その頃の資料などが和歌山県串山町にあるトルコ記念館に展示されています。その中に当時の医師たちの診断書があったり、トルコ政府からの治療代をお断りし、それを義援金に当ててくださいというなんともJapan人の謙虚な姿勢が描かれていました。
トルコ政府も律儀だなあと思いました。
筆者の知っているトルコ人はみんな踏み倒すのに…
トルコの義理人情の強さはなかなかなもので、それがイラン・イラク戦争の時イラクの全面無差別空爆の予告を受けたイランの首都テヘランで身動きの取れないJapan人の脱出に手を貸してくれたのがトルコ政府からの要請を受けたトルコ航空でした。
このエルトゥールル号からテヘラン脱出劇を描いた日本トルコ間の友好の歴史は映画化されています。両国共同作「海難1890」がそれなのですが、評判はまずまずといったところでしょうか。トルコに思い入れのある人にはトルコ人を含め号泣ものなのですが、そうでない人には「ふーん、そうなんだ」と終わってしまうような、そんな感じが正直なところでしょう。これもAmazonプライムで観ることができます。
番組の内容について
イスタンブールの見どころの紹介の後、日本とトルコの友好関係を構築した立役者の山田寅次郎とそのお孫さんが登場します。
1866年沼田藩(現在の群馬県沼田市西倉内町)藩士の次男として生まれた寅次郎こそがエルトゥールル号海難事故のために膨大な義援金を集めてそれを持ってトルコに渡って皇帝と謁見したすごい人物です。
皇帝に気に入られた寅次郎はイスタンブールで日本文化を教えたり、トルコにいる日本人の相談相手になったり、帰国後は実業家として社長さんになったりと大活躍だったよう。操る言語は4カ国。そんなぶっ飛んだ人があの時代にいたなんて。とはいえ、寅次郎が亡くなったのが1957年。結構最近の話なのです。
赤十字はこの寅次郎の行いを日本初の国際救援活動として位置付けています
そして次に紹介されたのが1985年のテヘラン脱出事件で実際トルコ航空機で脱出に成功した人。テヘランでインフラの事業に携わっていたそうです。
その人が当時救出に向かったトルコ航空機のフライトアテンダントとビデオコール。お互い感謝の意と平和の願いをそれぞれの言語で表してくれています。トルコ人のフライトアテンダントのアイシェさん、日本語の発音とてもお上手です。
さて、番組の途中途中で挟まれるクイズの一つにオスマン帝国の軍楽隊に関連したものがありました。メフテルと呼ばれる軍楽隊は世界初と言われ、17世紀にオスマン帝国がウィーン包囲を行った際にも随行されてから世の中に知れ渡ったそうです。
バンド構成はドラム、シンバル、クラリネット、ラッパなどで、中東特有のメロディーを元気よく演奏し、トルコ軍兵士を鼓舞すると同時に敵国に「オスマン帝国軍がやってきた。お前ら勝ち目ないから早く逃げろ」と降参を呼びかけるためにも使われたとも言われています。
現在は廃止されているのですが、お祭りなどに姿を現して文化を継承している様子にでくわいしたことがあります。(本当に大きいです、音)
ここで一発文句
寅次郎のトルコ行きにしても、テヘラン脱出事件にしても、
日本政府何してんねん
寅次郎には
君が集めた義援金だから君が届けなさい
一瞬聞こえはいいけど、行きたくなかったんだろうな。外務相が何してんねん。同行しろ!
テヘラン脱出危機の時も
憲法ですから自衛隊は送れません
紛争が勃発しているところは危ないから邦人がヤバいごとになっていても自衛隊を送ってはいけないという憲法があるのです。
それでいいの?Japan.
終わりに
奇しくもオンエアは3月11日。福島県沖で起こった東日本大震災の日、1ヶ月前にトルコ・シリア国境近くで起こった大地震と関連させてあります。テヘランで多くのJapan人を救出してくれたトルコ政府に今こそ恩返しをしよう!と鼓舞しているんだろうと思うのです。
借りがあってもなくても支援してもいいんじゃね?
と、捻くれてみたのですが、けれど少しずつ忘れかけられているトルコ・シリア大地震を思い出させてくれる目的はすごくいいな、と思いました。
3月11日の新聞の一面はもちろん東日本大震災の追悼式の様子だったのですが、未だに3万人ほどの人が避難生活を送っていらっしゃると書いてありました。復興には時間がかかるようです。
実は山田寅次郎だけでなく、たくさんのJapan人がトルコのために現在頑張っているのです。1ヶ月前の大地震以来あの辺りの地形などの調査も日本が活躍しているだとか、在イスタンブールの建築士の人がイスタンブールの古い家屋の問題をバシーっと提示してニュースに挙げられたりもしています。
私達にできることはなんだろう、と考えさせられた民放番組でした。ギリギリでも教えてくれたクルミ母に感謝です。
※番組がオンエアの時筆者は現場に立っていたので結局Tverで見ました。無料でインストールできる便利なアプリです。